魚舟・獣船

魚舟・獣舟 (光文社文庫)

魚舟・獣舟 (光文社文庫)

現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わりを衝撃的に描き、各界で絶賛を浴びた表題作。寄生茸に体を食い尽くされる奇病が、日本全土を覆おうとしていた。しかも寄生された生物は、ただ死ぬだけではないのだ。戦慄の展開に息を呑む「くさびらの道」。書下ろし中編を含む全六編を収録する。

久しぶりに表紙買いで良い作品に出会えた。

魚舟・獣船
表題作。海上で生活する人々は双子として生まれ、片方は人間と成長し、もう片方は魚舟と呼ばれる存在として大海原で成長して行き、過酷な環境で生き残った魚舟は人間として成長した兄弟の元に戻って来て…。見事な海洋SF。

くさびらの道
菌に感染して死んでしまうと、死んだ人が幽霊になって現れる話。バイオSFとホラーが上手く交わっていて見事。今作では一番のオススメ作品。

饗応
ホテル側の手違いで豪華な部屋に泊まる事になった男の話。身体の関節が外れる気分を味わえる露天風呂に入ってみたい。

真朱の街
人間と妖怪が共存している都市の話。妖怪が科学技術を使って人間に成りきっている所も面白いけど、なぜ妖怪が人間の前に姿を現す様になった理由を読んで、クラークの「高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない 」を思い出した。

ブルーグラス
昔の恋の想い出の品を探しに、環境保全の為に立ち入り禁止となる海に潜る男の話。


小鳥の墓
エリートを育成する街に住む僕のお話。作者のデビュー作の前日譚らしいのでそちらの方を購入する予定。