宇宙をぼくの手の上に

宇宙をぼくの手の上に (創元推理文庫 605-5)

宇宙をぼくの手の上に (創元推理文庫 605-5)

SF短編の名手ブラウンが描く奇想天外なお話のかずかず。月に思いをよせるハツカネズミ、いとも善意に満ちた怪物ベムたち、ゴキブリの思念投射に惚れこんだ男、サンドウィッチの中の宇宙船などなど、奇抜な着想と豊かなファンタジーにいろどられた全9編の物語の饗宴は、いかなるSF嫌いの読者をもファンに変えてしまう不思議な魔力を持っている。

星ねずみが一番好き。

百魔

白魔 (光文社古典新訳文庫)

白魔 (光文社古典新訳文庫)

緑色の手帳に残された少女の手記。彼女は迷い込んだ森のなかで「白い人」に魅せられ、導かれて…(「白魔」)。平凡な毎日を送るロンドンの銀行員にウェールズの田舎の記憶が甦り、やがて“本当の自分”に覚醒していく(「生活のかけら」)。魔の世界を幻視する、珠玉の幻想怪奇短編。

トンコ

トンコ (角川ホラー文庫)

トンコ (角川ホラー文庫)

高速道路で運搬トラックが横転し、一匹の豚、トンコが脱走した。先に運び出された兄弟たちの匂いに導かれてさまようが、なぜか会うことはできない。彼らとの楽しい思い出を胸に、トンコはさまよい続ける…。日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作をはじめ、親の愛情に飢えた少女の物語「ぞんび団地」、究極の兄妹愛を描いた「黙契」を収録。人間の心の底の闇と哀しみを描くホラーの新旗手誕生。

ぶひ。
ぷぎぎぃ。
ぶひ。
ぷぎぎぃ。


トンコ
事故で養豚トラックが横転し、そこから逃げ出した養豚のトンコを描いたホラー小説。ただ豚が逃げ出して、最後は捕まってしまうまでの話。初めて豚の気持ちになって本を読んだのは。一緒に育った兄弟ブタたちが養豚場から何処かへ連れて行かれたり、人間たちから忌み嫌われてと散々な目にあっている所は養豚場育ちのブタから見ればホラーなんだろうなと感じた。特に兄弟豚たちの匂いを頼りに探して見つかるのは、ビーフジャキーの袋だったり、捨てられた生姜焼き弁当だったりと、兄弟豚たちの末路が…

ぞんび団地
親から虐待を受ける女の子が、家族共々、ぞんびなって幸せになろうとする話。
興味本位でやって来る人間たちを襲っているぞんびたちが、ぞんびになりたがっている女の子を襲わないギャプが何とも言えない。前半は笑いを誘い、後半では何故、女の子はぞんびに襲われないかが明かされるけど、もう少し明確な伏線が欲しかった。
ちなみに作中に登場したぞんびたちは律儀なぞんびばかりなので、襲われなければご近所さんで欲しい。

黙契
自殺をした妹と、悔やみながらも妹の死の真相を追う兄の物語。
他の二作に比べて、シリアスな内容。

過ぎ行く風はみどり色

過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫)

過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫)

亡き妻に謝罪したい―引退した不動産業者・方城兵馬の願いを叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのは霊媒だった。インチキを暴こうとする超常現象の研究者までが方城家を訪れ騒然とする中、密室状況下で兵馬が撲殺される。霊媒は悪霊の仕業と主張、かくて行なわれた調伏のための降霊会で第二の惨劇が勃発する。名探偵・猫丸先輩が全ての謎を解き明かす、本格探偵小説の雄編。

分厚かった割にはサクサク読めた。
主人公と従妹の視点が全く違う所で違和感をあったけど、気にせず読んでいたので騙された。でも猫丸先輩が叙述トリックの肝となる部分を知っていたのはアンフェアな感じ。それにしても二重のトリックは見事。個人的には星降り山荘よりおもしろい。

粘膜人間

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。

DV弟、弟を殺そうとする兄達、憲兵、河童など異様なキャラばかりだったけど、一番怖かったのは少女。少女の兄が徴兵を放棄したため、家族である少女は捕まり、兄の秘密を聞き出さすために憲兵から様々な拷問を受けるけど、発狂状態になっても兄の秘密を守った少女。かたくなに守った兄の秘密とは・・・?ヤンデレ少女が怖いよ。