夜市

夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた―。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング!魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。

現実とは違う、異界に在る夜市。そこには様々な商品が異形の者達によって売られていて、一度迷い込むと、夜市で買い物をしない限り一生抜け出す事が出来ない…。主人公のいずみは、友人の裕司に誘われて、夜市に行くけど、異形の商売人や怪しい商品が売られている夜市に紛れ込んでも、平気な顔でいる所が凄い。表題作より、一般の人々には視えず異形の者やカミや別の世界の住人が利用する往還する風の古道の方が完成度が高く読み終えた後の余韻が良い。