料理人

料理人 (ハヤカワ文庫 NV 11)

料理人 (ハヤカワ文庫 NV 11)

自転車に乗っていずこからともなく現われた謎の男がつくる料理に、舌だけでなく、心のなかまですっかりとろけさせられてしまった町の人々! 包丁一本で町を乗っ取ってゆく悪魔的な名コック――町全体が巻きこまれた奇想天外な大騒動を描く、奇怪で痛快なブラック・ユーモア会心作!

料理人コンラッドは町の半分を所有するヒル家の料理人として雇われて、天才的な料理の腕前と生まれ持つカリスマ性で、どんどん周りの人を取り込んでいくコンラッド。彼の料理を食べ続けると肥えている者は痩せて、痩せている者は肥えていく…そんな不思議な作用を持つ料理を作るコンラッドは、屋敷の使用人を無理やり追い出して、ヒル家の当主を執事に奥さんをメイドに息子を料理人し、自分は娘を嫁として貰いヒル家を乗っ取り、屋敷の当主になる下剋上的な物語。ただそれだけの話。エピローグでは金持ち連中を招待して一晩中呑んで喰ってのカオス状態で終わり、何故コンラッドが屋敷の当主を狙っているかは一切語られる事はなく、妙に違和感の残る話だった。